特集
配信
不動産会社がカフェを営む理由

板橋区の不動通り商店街にある「さがつくCraft&Cafe」
家を買うとき、売るとき、リフォームを考えるとき。
不動産会社は、住まいについて大きな決断をするときに訪れる場所という印象があるかもしれません。
しかし、住まいに関する悩みは、日々の暮らしの中にもあります。
東京都板橋区の不動通り商店街にある「さがつくCraft&Cafe」は、そんな住まいの話をもっと身近なものにしたいという思いから生まれました。
不動産会社である価値住宅が、なぜカフェを運営しているのでしょうか。
その背景には、地域にある建物を生かし、人と人とのつながりを大切にする場所づくりがあります。
1.なぜ不動産会社がカフェを営むのか?
住まいのことで気になることがあっても、「まだ具体的に決まっていないから」「相談したら営業されるのではないか」と、不動産会社に足を運ぶことをためらう人もいるかもしれません。
実際に価値住宅にも、住宅の購入や売却、リノベーションについて相談したいけれど、不動産会社は敷居が高いという声が寄せられていました。
そこで考えたのが、相談のためだけに訪れる場所ではなく、普段から気軽に立ち寄れる場所をつくること。
コーヒーを飲んだり、お菓子を楽しんだりする日常の延長に、住まいについて話せる環境があったら。
そんな思いから、価値住宅は2021年4月にカフェの運営を引き継ぎました。
2.商店街の旧牛乳店を生かした場所づくり
カフェがあるのは、東京都板橋区の不動通り商店街です。
価値住宅の創業地でもあるこの地域では、商店の廃業や空き店舗の増加が課題となっていました。
こうした状況に危機感を抱いた価値住宅の髙橋正典らは、2019年にまちづくり会社「向こう三軒両隣」を設立。
地域に残る建物を生かし、商店街に新たな人の流れをつくる取り組みを始めました。
その一つが、かつて牛乳販売店だった空き店舗の再生です。
建物を借り受けてリノベーションを行い、2019年にカフェとシェアオフィスを備えた「おとなりstand&works」が誕生しました。
その後、2021年4月から価値住宅がカフェ部分の運営を引き継ぎました。
さらに2022年、併設されていたシェアオフィスの運営終了に伴い、そのスペースに価値住宅のリフォーム・リノベーション部門「さがつく」の事務所が入り、カフェも現在の「さがつくCraft&Cafe」という名称になりました。
店内には、旧牛乳店の冷蔵庫スペースを活用した空間も残されています。

旧牛乳店の冷蔵庫スペースの改修途中(左)と現在(右)
古い建物を取り壊すのではなく、今あるものを生かして、新たな使い方を考える。
この場所には、建物の特徴を残しながら、地域の日常に必要とされる場所へと活用していく考え方が受け継がれています。
3.地域の声を取り入れた場所づくり
この建物の再生には、地域の人々も関わってきました。
当初の場所づくりでは、地域住民が集まり、この場所にどのようなものが求められているのかを話し合うタウンミーティングが実施されました。

旧牛乳店の活用に向けて行われた、地域住民とのタウンミーティングの様子
さらに、改修工事には地域住民もボランティアとして参加しています。
_1.jpg)
地域の人々も参加した建物の改修工事の様子
運営する側だけで場所のあり方を決めるのではなく、地域の声に耳を傾け、実際の場所づくりにも地域の人々が関わる。
こうした過程は、単に建物を改修するだけではない、地域との関係を大切にした取り組みといえます。
そして現在は、価値住宅が運営する「さがつくCraft&Cafe」として、その場所が引き継がれています。
4.住まいの相談がなくても、気軽に立ち寄れる場所

木の温もりを感じる「さがつくCraft&Cafe」の店内

月ごとに内容が変わるシフォンサンドケーキの一例
「さがつくCraft&Cafe」は、コーヒーや季節のシフォンケーキ、手作りの焼き菓子などを楽しめるカフェです。
近隣の人々だけでなく、SNSなどをきっかけに遠方から訪れる人もいます。
もちろん、カフェを利用するために不動産の相談をする必要はありません。
また、カフェでは住まいやリフォームについての相談も受け付けています。
コーヒーを楽しむ日常の延長で、住まいのことを気軽に話せる場所にもなっています。
さらに、旧牛乳店の冷蔵庫スペースは、会議やワークショップなどに利用できるレンタルスペースとしても案内されています。
コーヒーを楽しむ人も、住まいについて考えている人も、それぞれの目的で訪れられる場所。
不動産の相談を特別なものにせず、日常の中で自然に話せる関係を大切にしています。
5.一杯のコーヒーから広がる地域とのつながり
カフェで提供しているコーヒーにも、地域とのつながりがあります。
使用しているのは、板橋区内の障がい者支援施設「小茂根福祉園」が手がける「フクロウ珈琲」です。
小茂根福祉園では、オリジナルブレンドのコーヒーを自家焙煎しています。
焙煎は職員が担当し、施設の利用者も袋詰めやスタンプ押しなどの作業に関わっています。
そうしてつくられたコーヒーを提供することで、カフェは地域の福祉施設の活動ともつながっています。
普段何気なく楽しむ一杯のコーヒーにも、その背景には地域の人々の仕事や取り組みがあります。
身近なカフェで過ごす時間が、地域のさまざまな活動を知るきっかけにもなるのです。
6.人とまち、住まいをつなぐ場所を目指して
住まいは、購入したり売却したりするためだけのものではありません。
日々の暮らしを支え、長い時間を過ごし、時には手を加えながら使い続けていく場所です。
そして、一つひとつの住まいや建物が集まることで、まちの風景がつくられています。
価値住宅が「さがつくCraft&Cafe」を通じて目指しているのは、不動産の取引という場面だけでなく、人々の普段の暮らしにも関わっていくことです。
既存の建物を生かし、地域の人々と関わりながら、誰もが気軽に立ち寄れる場所をつくる。
その取り組みには、建物を大切に使いながら、人と地域との関係を育んでいきたいという考え方が表れています。
住まいの相談をする人も、ただコーヒーを楽しみに訪れる人も。
それぞれが自然に過ごせる場所であることを大切にする「さがつくCraft&Cafe」。
不動産会社と地域の人々が、日常の中でつながるための一つの形です。
関連情報
■ さがつくCraft&Cafe 公式サイト
カフェの紹介やメニュー、店舗の利用案内などをご覧いただけます。
https://sagatsuku-claft-cafe.jimdofree.com/
■ 価値住宅 特集|中古住宅は「今の姿」だけで選ばない。「さがつく」
中古住宅の購入とリノベーションを一緒に考える、価値住宅の取り組みについて紹介しています。
https://kachi-jyutaku.co.jp/feature/13.html
取り組みの背景・参考資料
■ 価値住宅|「おとなりstand&works」について取材いただきました(2019年4月22日)
旧牛乳店を活用したカフェ・シェアオフィスの開設と、当初のまちづくりへの取り組みを紹介しています。
https://kachi-jyutaku.co.jp/media/55.html
■ R.E.port|「不動産会社の営むカフェ」、5年間の成果(2026年8月13日)
カフェの開業から現在に至る経緯や、地域との関わり、価値住宅による運営の取り組みを紹介した取材記事です。
https://www.re-port.net/amp/article/topics/0000082608/
